- 2009年9月26日 1:56 PM
- 話
ある水曜日の朝、大学へ向かう途中に先輩の下宿に立ち寄る。
1限目の講義に遅れないように起こすためだ。
そこで先輩を起こしてから、下宿屋のおばちゃんの入れてくれるお茶をいただき、
朝刊を読むのがその男の日課になっていた。
その日目にしたのは、学校からさほど遠くない、とある川に架かった吊り橋から、投身自殺があったという記事。
いつもなら、なにげに読み流すのだが、その日はその記事を目にしたときから、何となく落ち着かない気分だった。
どうも、その記事が気になって仕方がないらしい。
そこで、その橋の近くに住んでいる先輩に今朝の記事について聞いてみた。
「あー、あの橋ね。あそこはここ何年か連続してるんだ。お祓いとか村でしてるみたいだけど、駄目みたいだぜ。」
そうか、そういう場所なのか・・・・。
で、その先輩に案内してもらって、その場所まで行ってみた。
先輩の家付近に車を止め、橋まで歩いていく。
橋が見えたあたりから、急に胸を締め付けられるような気分になって、苦しくなった。
「やはりここは・・・・」
おそらく、ある波長が合った人、自殺志願者でなくても、引き込んでしまう強い力が働いているのではないかと思われた。
そして次の瞬間、
「待ってたぞ」
と、少し威厳のある男性の声。と、
「あー、来たー」
と小さな女の子の声。
しかし、一緒に行った先輩や仲間は、ワイワイしゃべりながら歩いている。
あの胸苦しさも、声も、何も感じていないようだった。
もしかして気のせい?と思った矢先、
「任せたぞ」
と先ほどの男性の声。
いや、正確に言うならば、”声”ではなく、”氣”。
耳ではなく、直接脳に入ってくる感じだ。
「一帯何を任されたのだろう??」
と思った直後、自分の周りにまとわりついてくる”感じ”。
直感で、先ほどの女の子だと感じた。
だが、姿は見えない。声も聞こえない。
だけど、確実に自分のそばについて(憑いて)きている。
家に戻ってきても、その感覚はつづいていた。
初めての体験ではなく、時々あることなので気にもとめていなかったが、
その感じが週末まで続いた。
別に悪さをするわけでもなく、ただいるだけなので、そのまま過ごしていた。
そして土曜日。その日は同じ学科の仲間数人と、とある観光地にある神社にでかけた。
以前から予定していたことだ。
鳥居をくぐり、手水舎で手と口をすすぎ、社殿の前に立った。
奥に大きく丸い鏡が置いてある。
そのほかにも綺麗に飾ってあり、これから何かの儀式が始まるようだった。
そして、2回礼をしようとした、まさにその瞬間、周りに憑いてきていた、
その ”女の子”の氣は、スーっとその鏡に吸い寄せられるかのように消えていった。
2礼して顔を上げた時、いつの間にかに、目の前に神職らしき人(そう見えた)が立っていた。
そして、
「お祓いして差し上げましょうか?」
と言ってきた。
もうそのときは全く必要なくなっていたので、
「大丈夫です」
と答えると、
「そのようですね」
と、答えてきた。
2拍手し、最後の1礼を済ませると、その人は消えていた。単に立ち去ったのだと思っていたが、
帰る道中、友人が、
「おまえさぁ、さっき神社でなに独り言言ってたんだ?」
あれは何だったのだろうか・・・
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